肉離れの癖を解消する対処方法や対策・原因・特徴について
肉離れの癖とは
肉離れに限らず、捻挫やアキレス腱炎などは怪我の中でも癖になりやすいとされています。トップアスリートの中にも肉離れが癖になってしまい、思うように練習ができなかったり引退を余儀なくされた選手は多くいます。肉離れの癖がついてしまうと、いつものと同じように生活していたり、いつもと同じような運動していても再発しやすくなります。
これは、一度怪我をしてしまうと元の状態には戻らないという、人間の身体の性質によって引き起こされています。軽い擦り傷であれば元に戻りますが、何針も縫うような怪我をした場合は怪我の跡がずっと残ってしまいます。また骨折をすると、以前動いていた場所までは動かなくなります。
このような身体に大きなダメージを与える怪我をしてしまうと、治ったとしても完全に元の状態に戻ることはないのです。人間の身体は、成長に合わせてゆっくりと筋肉や骨、皮膚などを作っていきます。しかし、怪我をしてしまった場合はそうもいきません。同じようにゆっくりと身体の組織を作っていたのでは回復が間に合いませんし、自然界では死に至る可能性もあるからです。
そこで身体を作っている細胞は、できるだけ早く傷口をふさいだり、筋肉を繋げるように働きます。その結果、ゆっくりと作り上げた組織とは違うものが怪我の部分に入り込むことになり、元の組織との間に強度の差が生まれます。この部分は弱いため、いつもと同じような動きでも耐え切れずに壊れてしまい怪我が再発するのです。
肉離れの癖の特徴(症状)や原因
肉離れは収縮している筋肉が急に引き伸ばされた際に、筋肉の一部が断裂して起こります。つまり、筋肉が自身の伸び縮みに耐え切れなくなることが肉離れの原因です。肉離れが発生しやすい筋肉は、太ももの前側や裏側の筋肉、太ももの内側の筋肉、ふくらはぎの筋肉といった比較的大きな筋肉です。大きな筋肉は出せるパワーも大きくなるので、断裂しやすいのです。
肉離れを引き起こすと、傷ついた筋肉の隙間には内出血により血だまりが入り込みます。それが瘢痕(はんこん)組織と呼ばれる肉のような組織に置き換わっていくことで、隙間をふさいでいきます。しかし、瘢痕組織は筋肉の隙間を埋めるための存在であり、元あった筋肉のような柔らかさや伸び縮みのしやすさはありません。
トレーニングやストレッチを行って瘢痕組織に柔軟性を与え、元の筋肉のような繊維状の組織に変えていかなければならないのです。それを怠って運動を再開すると、筋肉になっていない固い部分が再度損傷し肉離れが再発してしまいます。傷ついた部分には瘢痕組織ができるので、固い部分が増えることになります。
固い部分が増えると、肉離れを引き起こす可能性はさらに高まります。肉離れの癖がついてしまう原因のほとんどが、このように筋肉が戻っていないにも関わらず運動を再開してしまうところにあります。痛みが引いたからといって運動を再開せず、元の運動強度でも耐えられるような筋肉を作っていく必要があるのです。
肉離れの癖の対策
肉離れの癖がつかないようにする対策として何よりも大切なのは、肉離れにならないようにすることです。一度肉離れになってしまうと、どうしても再発するリスクが高まってしまいます。準備運動やストレッチ、マッサージなどで身体をほぐし、十分に足を動かしてから運動するようにしましょう。万が一肉離れになってしまった場合は、迅速な応急処置がその後の回復に大きく影響します。
肉離れは内出血を伴うことがほとんどなので、まずは氷などで患部を冷やし内出血を抑制するようにしましょう。軽度の肉離れでも内出血が発生している可能性は高いので、すぐに運動をやめて患部を冷やしてください。筋繊維が断裂しているため、肉離れを起こした部分の筋繊維周辺は2~3日程度、強い炎症を起こします。
内出血が収まってきたら、今度は患部を温める温熱治療を行っていくことになります。発症した直後は患部を冷やすことで損傷が拡大することを防ぎ、その後は温めることによって回復を早めるというのが一般的な治療法です。
自分で温熱治療を行う場合は、風呂に浸かる、温めたタオルで患部を覆うといった方法が挙げられます。内出血が完全に収まり、患部に触れても痛みを感じないくらいに回復してきたら、軽いマッサージを行い筋肉にも刺激を与えていきます。実際に筋肉を使ったトレーニングはこうした治療を経てから行うことになるので、痛みを感じないからと焦って運動を再開しないようにしましょう。完全に回復してから運動を再開させることが再発防止には重要です。
肉離れの癖の解消方法
すでに肉離れが癖になっている場合は、完全に回復してないうちに運動を再開することが常態化していると考えられます。肉離れの癖の解消法は完全に回復させる以外にありません。痛みを感じないからと自己判断で治療を終了せず、不安がある場合は医師の診察を受けるようにしましょう。また、回復したといっても断裂した筋肉が繋がっただけの状態です。
以前と同じ運動強度に耐える筋肉にしていくためには、適切な負荷でトレーニングをして筋肉を強くしていかなければなりません。そこを怠って以前と同じ負荷をかけてしまうと、再び肉離れを発症してしまいます。肉離れを起こした筋肉が動かしても痛みを感じない程度に回復したら、軽い筋トレから始めていきましょう。
無理をせず、痛みを感じたらすぐにやめることが重要です。肉離れを起こした筋肉や損傷の具合によって回復期間は違い、太ももの肉離れでは2週間~4週間、ふくらはぎの肉離れでは1ヶ月~2ヶ月の時間がかかります。完全に治すという意識を持って治療に臨みましょう。
復帰後の運動やリハビリで軽い運動をする際には、テーピングやサポーターをすると再発の予防になります。完全に回復しているはずなのに肉離れが再発するという場合は、身体の使い方に悪い癖があり、同じ部分に無理な負荷がかかっていることが考えられます。運動時や普段の生活の中で、同じ部分に負荷がかかるような動作をしていないか意識してみましょう。悪い癖がある場合は動作の改善が必要になります。
肉離れの癖のまとめ(未然に防ぐ方法など)
肉離れは筋肉という身体の内部が損傷を起こすため、完全に回復したかどうかが分かりにくい怪我です。炎症が収まり筋肉が繋がると痛みが引いていくため、回復したと勘違いすることが多いですが、まだ筋肉は本来の負荷に耐えられる状態ではありません。そのような状態でいつも通りの負荷をかけると、筋肉は再び断裂してしまいます。
また回復に長い時間がかかり、その間は安静にしておく必要があるため、肉離れを起こしたした部分の筋肉は衰えていきます。衰えた筋肉は弱く、耐えられる負荷も小さいため、運動を再開する際には気をつけなくてはいけません。肉離れを癖にしないためには、回復後の負荷かけ方も考えなければならないのです。
しかし、回復の状態を完全に把握することができない以上、再発のリスクは常につきまといます。それを避けるためには準備運動やストレッチをしっかり行い、肉離れを起こさないことが重要です。普段から運動する人はもちろん、あまり運動をしないという人も風呂あがりなどにストレッチをして、筋肉を柔軟にしておくと肉離れの予防になります。
運動の際にはテーピングやサポーターを利用し、発症のリスクを低下させるように心がけましょう。それでも肉離れになってしまった場合は、焦らずゆっくりと治していくことが肝心です。肉離れを起こした直後は患部を冷やして内出血を抑え、内出血が収まったら患部を温め血行を促進して筋肉組織の回復を助けます。症状が重い場合や早く治す必要がある場合は、医師の診察を受けるようにしましょう。
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